ビタミンDを豊富に含む「きのこ」の種類と、その驚くべき効果
特有の風味と食感が魅力のきのこ類には、食物繊維をはじめとするさまざまな栄養素が豊富に含まれています。なかでも注目したいのが、骨の健康や免疫機能の維持に欠かせないビタミンDです。この記事では、ビタミンDの基礎知識をはじめ、ビタミンDを豊富に含むきのこの種類や、栄養を効率よく摂取するためのポイントをご紹介します。
きのこに含まれるビタミンDとは?種類や効果を解説
ビタミンDとは、現代人の生活で不足しがちな栄養素のひとつです。ビタミンはD2~D7までの6種類がありますが、D4~D7までの4種類は、食品にはほとんど含まれていません。しかし、18歳以上の男女が健康を維持するためには、1日あたり9.0μg以上の摂取が必要とされています(日本人の食事摂取基準, 2025年版)。
ビタミンDが不足すると、体内のカルシウムが不足して、骨粗しょう症などのトラブルを誘発する可能性が高いです。特に高齢者の場合は骨折のリスクが高まり、最悪の場合は寝たきりになるケースもあるため注意しましょう。子どもの場合は骨が十分に成長せず、姿勢の悪さや足の骨の湾曲などにつながる場合もあります。
このように、ビタミンDは私たちの健康を支えるうえで、大きな役割を担う成分です。きのこ類からビタミンDを摂取することにより、健康な暮らしを維持しやすくなるでしょう。
きのこに含まれるビタミンD(D2・D3)の違いと役割
ビタミンD2とD3は、いずれも人体にとって特に重要度が高いビタミンです。それぞれの役割はほとんど同じですが、近年の研究では、D3はD2と比べて働きが2倍高いとする報告もあります。
栄養学的には、先述したカルシウムの補強に加えて、免疫力をアップさせる効果が期待できます。これにより、風邪などの感染症の重症化リスクを軽減したり、抗がん作用を向上させたりする可能性も指摘されています。また、妊婦が十分な量のビタミンDを摂取すると、胎児が小児喘息にかかるリスクを下げられるともいわれています。
日光(UV)や乾燥で増える仕組みと家庭でできる方法
きのこには「エルゴステロール」と呼ばれる成分が含まれており、紫外線を浴びることでビタミンD2へと変化します。そのため、生のまま食べるよりも、天日干しなどで乾燥させたほうが、より多くのビタミンD2を摂取しやすくなります。
ビタミンDとビタミンB群・β-グルカンなどほかの栄養素との関係
きのこが持つ栄養はビタミンDだけにとどまりません。ビタミンB群やβ-グルカンなど、そのほかの栄養素も豊富に含んでいます。ビタミンB群はエネルギー代謝をサポートし、β-グルカンは免疫調整と腸内環境改善に役立つと言われています。これらが相乗的に作用して、ビタミンDによる効果を総合的に高められる可能性があります。
吸収と働きのポイント:カルシウム・リン・脂質との相互作用
ビタミンDは、小腸でカルシウムやリンの吸収を助ける重要な栄養素です。これにより、血中カルシウム濃度を正常な範囲に保つ働きが期待できます。血中カルシウム濃度が適切に維持されることで、神経伝達や筋肉の収縮といった体の機能も正常に働きやすくなると考えられています。
また、脂質と一緒に摂取することにより、体内への吸収をさらに促進できます。例えば「クリームシチュー」や「カルボナーラ」のように、乳製品と一緒に調理すると、より効率的に栄養を吸収しやすいでしょう。さらに、ビタミンDは油分に溶け出しやすいため、オリーブオイルやバターなどと合わせて調理するのもおすすめです。
ビタミンD含有量が多いきのこを紹介

ひと口にきのこといっても種類はさまざまで、含まれるビタミンDの量も異なります。効率よくビタミンDを摂取するために、含有量が豊富なきのこの種類を見ていきましょう。
しいたけ(椎茸)──乾燥で最強?含有量と特徴
原木栽培の場合、しいたけのビタミンD含有量は、100gあたり0.4μgです。生の状態ではそれほど多くありませんが、乾燥させることで栄養が凝縮され、ビタミンDの含有量が大幅に増加します。干ししいたけの場合、ビタミンDの含有量は100gあたり17.0μgとなり、これは数あるきのこ類の中でもトップクラスの含有量です。
きくらげ(乾燥)──含有量と栄養価/リンや食物繊維
乾燥した状態のきくらげは、まさしく最強といえるビタミンD含有量を誇ります。その含有量は、100gあたり85.0μgで、これは干ししいたけと比較して約5倍もの多さです。また、食物繊維やリンも豊富なため、腸内環境の改善や、骨の健康維持にも役立つでしょう。
まいたけ──含有量とβ-グルカン
まいたけは、100gあたり4.9μgのビタミンDを含有します。先述した干ししいたけやきくらげには及びませんが、まいたけの特徴はβ-グルカンが豊富に含まれることです。免疫調整と骨の健康の両面をサポートするため、健康的な食生活を取り入れたい方にとって、注目すべき食材といえるでしょう。
マッシュルーム(生・加熱の違い)──含有量と調理の注意
マッシュルームは、きのこ類の中では珍しく、加熱せずに生のままで食べられるきのこです。ただし、生のマッシュルームのビタミンD含有量は100gあたり0.3μgにとどまりますが(、炒めたマッシュルームのビタミンD含有量は100gあたり0.8μgに増加します。栄養面を考慮すると、マッシュルームは加熱調理したほうが良いでしょう。
エリンギ──おすすめの調理方法
100gあたりのエリンギに含まれるビタミンDは、1.2μgです。β-グルカンも豊富に含まれるため、免疫力の向上や、骨のコンディションアップにも役立つ食材といえます。一口大にカットして、バター醤油でソテーするだけでもおいしく仕上がるため、普段あまり料理をしない方でも、食生活に取り入れやすいでしょう。
出典:文部科学省食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08042_7
ビタミンDを減らさず増やす調理・保存方法

ビタミンDは、調理法や保存方法によって増減しやすいことが特徴です。ここでは、調理・保存でビタミンDを減らさず、増やす方法について、4つのポイントに分けて解説します。
天日干し・乾燥・UVライトでビタミンDを増やす手順と注意点
先述したように、きのこを乾燥させるとエルゴステロールをビタミンDに変換しやすくなり、より多くの量を産生できます。その効果は驚異的で、しいたけの場合は、生のものと比較して30倍以上になるといわれるほどです。
ご家庭で簡単に乾燥させる方法として有効なのは“天日干し”です。特に7月~8月などの夏季は紫外線が増え、多くのエルゴステロールを産生できます。ざるの上に清潔な布巾を敷いてきのこを乗せ、1日あたり半日程度、2~3日にわたって干しましょう。UVライトを当てて紫外線にさらす方法も効果的です。
ただし、天日干しをしている途中で虫が寄ってくる可能性があることには注意が必要です。清潔な環境を保ちたい場合は、虫除けネットを被せると良いでしょう。
加熱・冷凍・保存の影響:ビタミンDは壊れる?長持ちさせるコツ
ビタミンD2は熱に対して比較的強いですが、長時間加熱すると栄養が損なわれる可能性があります。冷凍に関しても同様で、長く置きすぎると水分と一緒に栄養が逃げてしまうため、冷凍後は1ヶ月以内に使い切りましょう。冷凍する際は、密閉保存すると酸化を防ぎやすく、ビタミンDなどの栄養を保ちやすくなります。
料理別のポイント:パスタ・炒め・炊き込みご飯で失敗しない調理法(調味料・材料の配合)
先述したように、ビタミンDを効率よく吸収するには、油や乳製品と一緒に調理することがポイントです。例えば、きのこを使ったパスタはオリーブオイルで炒めたり、クリームソースと合わせたりすると、栄養を無駄なく摂取しやすくなります。
また、冷凍保存したきのこを使用する場合は、凍ったまま炒め物や炊き込みご飯の具材として使用しましょう。別々に解凍すると、水と一緒に栄養や旨味が流出してしまいます。
吸収を高める食材の組み合わせ(脂質・カルシウムを含む食品と一緒に)
ビタミンDの吸収を最大限に高められるように、きのこを脂質・カルシウムと一緒に摂取できる料理をいくつかご紹介します。
<きのこ+脂質・カルシウムをバランス良く含んだおすすめの料理>
・きのこと鮭のクリームパスタ
・きのこと厚揚げのバター醤油炒め
・きのこと小松菜のホイル焼き
・きのことサバ缶のトマトチーズ煮込み など
摂取目安・不足リスクと改善プラン(食品とサプリの比較)

ビタミンDは、免疫機能や骨の健康を維持するために欠かせない栄養素です。ここでは、年齢・状態別に見たビタミンDの必要量や、不足した場合のリスク、そして食生活を通じた改善プランをご紹介します。
年齢・状態別のビタミンD目安(μg)ときのこでの換算例
日本人の食事摂取基準(2025年版)によると、1日に必要なビタミンD摂取量の目安は次のとおりです。
【ビタミンDの食事摂取基準(男性)】
| 年齢 | 目安量(μg) |
|---|---|
| ~生後11ヶ月 | 5.0 |
| 1~2歳 | 3.5 |
| 3~5歳 | 4.5 |
| 6~7歳 | 5.5 |
| 8~9歳 | 6.5 |
| 10~11歳 | 8.0 |
| 12歳以上 | 9.0 |
(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書, https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html )
例えば干ししいたけの場合、100gあたりのビタミンD含有量は17.0μgです。12歳以上の方は、干ししいたけを1日あたり50~60g程度摂取すれば、1日の必要量を確保できる計算になります。
食品 vs サプリメント:メリット・デメリットと選び方のポイント
食品の場合、自然な形で摂取できることに加えて、食物繊維やβ-グルカンといったほかの栄養素も一緒に吸収できることがメリットです。過剰摂取のリスクも低く、日常的な食生活に取り入れやすいでしょう。ただし、食べるきのこの種類によって含有量が変動しやすく、必要量を計算しにくいことはデメリットです。
一方のサプリメントは、正確な量を摂取しやすく、きのこの風味が苦手な方でも食生活に取り入れやすいことがメリットです。ただし、含有量が多いサプリメントを選ぶと、過剰摂取のリスクがあります。持病がある方がサプリメントを選ぶ際は、担当医に相談して、目安の摂取量を守りながら飲みましょう。
ビタミンD不足がもたらす影響と予防法
ビタミンDが不足すると、以下のような症状があらわれる場合があります。
<不足時の主な症状>
・免疫力の低下
・骨代謝の低下
風邪などの感染症にかかりやすくなるほか、小児の場合は「くる病」、大人の場合は骨粗しょう症などを発症しやすくなります。これらの予防法としては、きのこをはじめとするビタミンD含有量が多い食材を食生活に取り入れることや、適度な日光浴を行うことが有効です。
日常の食生活改善プラン:週単位でのきのこの取り入れ方と目安
無理なく食生活を改善できるように、きのこを使ったレシピを週単位で取り入れましょう。例えば月・水・金は100g程度を味噌汁の具材として使ったり、火・木は乾燥きのこを使った炊き込みご飯や煮物を定番にしたりするのがおすすめです。
まとめ
ビタミンDは、骨のコンディションや免疫力を向上させるための基盤となる栄養素です。干ししいたけなどに代表されるきのこには、多くのビタミンDが含まれています。日々の食生活にきのこを取り入れ、ビタミンD不足による骨粗しょう症などの健康リスクを予防しましょう。

