しいたけ(シイタケ)に含まれる栄養素と期待できる効能とは?

日本の食卓に欠かせないしいたけは、地味な食材として見過ごされがちですが、実は健康維持に役立つ栄養素を数多く含んでいます。

本記事では、しいたけに含まれる栄養成分と、健康・美容への働きを公的データとともに解説します。鮮度の高い商品の選び方や保存方法もあわせてご紹介します。

しいたけに含まれる代表的な栄養成分

しいたけは低カロリーながら栄養成分が豊富な食材です。文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)による、生しいたけ100gあたりの代表的な成分は次のとおりです(出典:文部科学省食品成分データベース, https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08039_7 )。

成分 配合量(100gあたり)
エネルギー 25kcal
水分 89.6g
たんぱく質 3.1g
脂質 0.3g
食物繊維総量 4.9g
炭水化物 6.4g
ナトリウム 1mg
カリウム 290mg
カルシウム 1mg
マグネシウム 14mg
リン 87mg
鉄 0.4mg
亜鉛 0.9mg
銅 0.1mg
ビタミンD 0.3μg
ビタミンB1 0.13mg
ビタミンB2 0.21mg
ナイアシン(当量) 4.0mg
葉酸 49μg
パントテン酸 1.21mg

ここからは、特に注目すべき「エリタデニン」「ビタミンD」「グアニル酸」の3つの成分について見ていきます。

エリタデニンの働き

しいたけに特徴的な成分の一つがエリタデニンです。他のきのこ類にはあまり見られないアミノ酸誘導体で、コレステロールの排出や血圧低下への関与が期待され、病原菌の増殖を抑える働きについても研究が進められています(出典:https://www.hokken.co.jp/trivia/shiitake.php )。

エリタデニンの働きにより、生活習慣病の予防・改善をサポートする可能性が示唆されています。血流改善を通じて動脈硬化の予防につながる可能性も指摘されており、食生活が乱れがちな人にとって取り入れやすい成分といえます。

ビタミンD生成に関わる特徴

しいたけには100gあたり0.3μgのビタミンDが含まれます。ビタミンDの生成に関わるのが、その前駆体である「エルゴステロール」です。エルゴステロールに紫外線を当てることで、人体が利用できるビタミンDへと変換されます。

生しいたけと干ししいたけを比較すると、生のビタミンD量が100gあたり0.3μgであるのに対し、干ししいたけは17.0μgと約50倍以上に増加します(出典:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08013_7 )。効率よくビタミンDを補給したい場合は、乾燥したしいたけを選ぶとよいでしょう。

ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、骨を丈夫にする効果や筋力維持への関与が期待される栄養素ですが、野菜や穀物にはほとんど含まれません。成人の目安摂取量は1日あたり8.5μgとされており(出典:公益財団法人骨粗鬆症財団, https://www.jpof.or.jp/Portals/0/images/publication/leaf_02_181003.pdf )、ビタミンDが豊富なしいたけは補給源の一つとして活用できます。

旨味成分グアニル酸の役割

しいたけの濃厚な味わいを支えるのが、旨味成分のグアニル酸です。核酸の一種で、イノシン酸・グルタミン酸と並ぶ「三大旨味成分」の一つとされます。グアニル酸を豊富に含む食材は少なく、干ししいたけのほか、海苔、ドライトマト、乾燥ポルチーニ茸など一部に限られます。

グアニル酸を引き出すコツは、干ししいたけを戻す際に5℃前後の低温の水を使うことです。全農が行った実験では、常温の水で戻した場合と比較して、5℃前後で戻したしいたけのグアニル酸量が10倍に増加したとの報告があります(出典:https://shiitake-himeno.co.jp/blog/2631 )。5℃はおおよそ冷蔵庫内の温度にあたるため、タッパーに冷水を張り、冷蔵庫内で戻すと旨味を引き出しやすくなります。

旨味成分が持つ健康作用とは

グアニル酸などの旨味成分は、単に食材の味を引き立てるだけでなく、健康にもつながる働きを持つと考えられています。

旨味が満腹感に与える影響

旨味成分は、食事に対する満足感やおいしさと深く関わります。英国サセックス大学のマーティン・ユーマンズ教授の指導のもとで行われた研究では、旨味成分(グルタミン酸ナトリウムとイノシン酸を添加したスープ)を摂取した被験者グループのほうが、その後の食事量が減少し、満腹感が高まったことが確認されています(出典:https://dm-net.co.jp/calendar/2014/022217.php )。この結果は、旨味を活かした食事が暴飲暴食の抑制や生活習慣病リスクの低減につながる可能性を示しています。

味の濃さと減塩効果の関係

旨味成分を豊富に含む食材を活用すると、減塩効果を得やすいとされます。旨味にはわずかな塩味や甘味を引き立てる作用があり、他の味との相乗効果によって塩分量を抑えても満足度の高い料理に仕上げやすくなります。

過剰な塩分摂取は高血圧の一因とされ、生活習慣病のリスクを高めるとされています。減塩を意識することで、高血圧や糖尿病、心疾患、脳卒中などのリスク低減や、健康寿命の延伸につながる可能性があります。

生と干しで変わる栄養差

しいたけは「生」と「干し」で栄養価に大きな差が生じる点も特徴的です。文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)のデータをもとに比較します(出典:文部科学省食品成分データベース, 生しいたけ https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08039_7 /干ししいたけ https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08013_7 )。

成分 生しいたけ 干ししいたけ
エネルギー 25kcal 258kcal
水分 89.6g 9.1g
たんぱく質 3.1g 21.2g
脂質 0.3g 2.8g
食物繊維総量 4.9g 46.7g
炭水化物 6.4g 62.5g
ナトリウム 1mg 14mg
カリウム 290mg 2200mg
カルシウム 1mg 12mg
マグネシウム 14mg 100mg
リン 87mg 290mg
鉄 0.4mg 3.2mg
亜鉛 0.9mg 2.7mg
銅 0.1mg 0.6mg
ビタミンD 0.3μg 17.0μg
ビタミンB1 0.13mg 0.48mg
ビタミンB2 0.21mg 1.74mg
ナイアシン(当量) 4.0mg 23.0mg
葉酸 49μg 270μg
パントテン酸 1.21mg 8.77mg

※100gあたりの成分量。

比較すると、干ししいたけの栄養成分はどの項目でも大きく上回ります。これは、水分が抜ける過程で栄養素が凝縮されることと、乾燥時の紫外線によりビタミンDが生成されることが理由です。目的に応じて生と干しを使い分けると、それぞれの栄養価を活かしやすくなります。

免疫力や美容面で期待できる効果

しいたけには、免疫力向上や美容面での効果も期待されています。ここでは「β-グルカン」「ホルモンバランス」「抗酸化成分」の3点をご紹介します。

免疫をサポートするβ-グルカン

きのこ類全般に共通する成分にβ-グルカンがあります。食物繊維の一種で、免疫力の向上や血糖値・コレステロール値の管理への関与が期待される成分です。

しいたけに含まれる主なβ-グルカンは「レンチナン」です。もともと注射薬として開発された歴史を持ち、マウス実験でがん細胞の増殖を抑える効果が確認されています。現在では、抽出・精製されたレンチナンが、がん治療の補助療法として用いられています(出典:https://www.nittokusin.jp/kinoko/contents/health/kinoko_file/shiitake/shiitake.html )。

ホルモンバランスの整え方

ホルモンバランスの調整に関わるとされる成分の一つがパントテン酸(ビタミンB5)で、干ししいたけには100gあたり8.77mg含まれます。

パントテン酸は糖質・脂質・たんぱく質の代謝とエネルギー生成に欠かせない成分で、不足するとストレスへの抵抗力が弱まり、イライラや不眠、倦怠感につながる可能性があるとされます。自律神経や副腎皮質の働きの維持、免疫抗体の形成サポートなどにも関わるとされ、精神的な不調や食欲不振を防ぐうえでも重要な栄養素とされています(出典:https://www.magojibi.jp/nutrition/pantothenicacid/ )。

肌ケアに関わる抗酸化成分

美容面で注目したいのが、強い抗酸化作用を持つとされるエルゴチオネインです。抗酸化成分として知られる「グルタチオン」と比較して、エルゴチオネインの抗酸化作用は3〜30倍とも言われています(出典:ユーグレナ, https://www.euglab.jp/column/nutrition/8285.html )。

エルゴチオネインの摂取により、肌の弾力維持やメラニン生成の抑制が期待できるとされます。この作用によりハリのある肌を保ちやすくなるほか、シミやくすみの予防、ターンオーバーの促進にもつながる可能性があります。

しいたけの鮮度を保つ保存テクニック

しいたけは栄養豊富な一方でデリケートな食材でもあり、正しく保管しないと鮮度をすぐに失ってしまいます。ここでは、新鮮な商品の選び方と保存のコツをご紹介します。

冷蔵庫での最適な温度帯

購入時は、できるだけ肉厚でカサが閉じ、カサの裏側が真っ白なものを選ぶと鮮度が高く、長持ちしやすいです。

購入後は5℃前後、湿度40%程度を目安に、冷蔵庫の野菜室で保管するとよいでしょう(出典:https://shiitake-himeno.co.jp/knowledge/1664 )。店頭では常温で並ぶことも多いですが、高温多湿はしいたけにとって好ましくないため、季節を問わず野菜室での保管をおすすめします。

紙袋保存が良い理由

保存のポイントは「紙袋保存」です。パックのまま冷蔵庫に入れるのは避け、紙袋や新聞紙で包んで保存するとよいでしょう。しいたけは収穫後も呼吸を続けているため、パックのままでは湿気がこもりやすく劣化が早まりやすくなります。紙袋で保存すると余分な湿気を防ぎつつ適度な通気性を保て、鮮度を維持しやすくなります。

水洗いしない方が良い理由

しいたけは基本的に土や泥が付きにくい環境で栽培されるため、水洗いは基本的に不要とされます。調理前や保存時に水洗いすると特有の風味が飛びやすく、水溶性の栄養素が流出するおそれもあります。汚れが気になる場合は濡らしたキッチンペーパーで軽く拭う程度にとどめ、そのままの状態で調理・保存するのがおすすめです。

まとめ

日本の食生活に欠かせないしいたけには、エリタデニンやビタミンD、グアニル酸など、健康と美容の両面に関わる栄養素が豊富に含まれています。旨味成分は食欲を満たしながら減塩をサポートし、抗酸化成分は美容面での効果も期待できます。生と干しを目的に応じて使い分けながら、日々の食生活に取り入れてください。

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