たもぎ茸に含まれる栄養成分と他キノコとの徹底比較をしてみた

キノコ類は低カロリーかつ栄養豊富な食材であり、私たちの食生活には欠かせません。きのこにはさまざまな種類がありますが、栄養価の高さと期待できる効果の多さにより、国内外の研究者や研究機関が関心を高めているのが「たもぎ茸」です。この記事では、たもぎ茸の栄養と魅力について解説した上で、たもぎ茸を「エノキ」「シイタケ」「マッシュルーム」といったメジャーなキノコの成分や機能を徹底比較します。

たもぎ茸とエルゴチオネインの基礎知識

たもぎ茸は、昔から日本の一部の地域で親しまれてきたキノコの一種です。最近ではたもぎ茸の研究が進み、その栄養価の高さや、それによってもたらされるメリットが注目を集めています。たもぎ茸に含まれる代表的な成分が、その他の食材から大量に摂取することが難しく、なおかつ人間が自然に生成できない「エルゴチオネイン」です。

まずはたもぎ茸の特徴や、影響を与える可能性が指摘される健康効果、そして成分のメカニズムと効果について解説します。

たもぎ茸とは?その特徴と健康効果を解説

たもぎ茸(タモギタケ、学名Pleurotus cornucopiae)とは、ヒラタケ科ヒラタケ属に属する食用のキノコです。日本国内では北海道や東北、海外では中国北部やロシアといった寒冷地に自生していますが、収穫量が少なく、幻のキノコと呼ばれていました。近年では、たもぎ茸が持つ栄養価の高さに注目が集まり、人工栽培の技術が向上したため、日本全国で入手しやすくなっています。

たもぎ茸には、後述するように多くの健康成分が含まれることが特徴です。摂取すると抗酸化作用・抗炎症作用をもたらす効果が期待でき、美肌効果や免疫力強化、生活習慣病予防、ストレス軽減など、さまざまな健康効果を得られる可能性があります。

エルゴチオネインとは?メカニズムと効果

たもぎ茸にはさまざまな健康成分が含まれていますが、主要成分として注目されるのがエルゴチオネイン(英語:Ergothioneine)です。これは極めて強い抗酸化物質で、一部のきのこなど限られた食材しか含有していません。

なぜこの成分が健康に役立つのかというと、細胞にダメージを与えるおそれのある活性酸素に対抗するためです。活性酸素は、呼吸や代謝、紫外線、喫煙などの影響を受け、体内で生成されます。過剰に生成された活性酸素は細胞を攻撃し、酸化ストレスを引き起こします。これが原因で発生するとされるのが、シミ・シワなどの老化現象や、がん、動脈硬化、糖尿病に代表される生活習慣病です。

活性酸素によるダメージはミトコンドリアに集中しがちですが、エルゴチオネインはミトコンドリアに蓄積されるという特殊な性質を持っています。ミトコンドリアが吸収したのち、厄介な活性酸素に立ち向かい、私たちの老化に抗うべく戦ってくれるのです。これにより得られると考えられる、主な健康効果は、老化の防止、生活習慣病の予防、脳機能の維持・改善、免疫力向上、疲労回復などです。

近年の研究により、アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症の予防・改善効果を得られる可能性も指摘されています(出典:ホクト株式会社, https://www.hokto-kinoko.co.jp/kinokolabo/kenkyu/324387/ )。これらの効果により、エルゴチオネインが次世代の抗酸化物質として、日本国内のみならず世界中で研究が進められているのです。

たもぎ茸に含まれる主な成分とその役割

たもぎ茸には多くの成分が含まれていますが、代表的な成分は以下の4つです。それぞれの役割を一覧表にまとめました。

成分 役割
エルゴチオネイン 抗酸化物質のひとつであり、ビタミンEの約7,000倍の抗酸化作用を持つとされる
β-グルカン 水溶性食物繊維の一種であり、免疫機能の活性化などが期待できる
ビタミンB群 エネルギー代謝をサポートし、疲労回復や健康維持に役立つ
アミノ酸 体を構成するたんぱく質の材料であり、生命活動に不可欠な栄養素である

(出典:ホクト株式会社「きのこらぼ」, https://www.hokto-kinoko.co.jp/kinokolabo/kenkyu/324387/ )

β-グルカン(ベータグルカン)は、免疫力向上との関連性が高い成分であり、アレルギー症状の改善や風邪・感染症予防にも役立つと考えられています。

ビタミンB群はたんぱく質の代謝を助ける成分で、疲労回復や神経機能の正常化といった効果が期待できます。

また、アミノ酸の一種であるグルタミン酸は、体内でGABA(ギャバ)に変換されることが知られており、GABAにはリラックス効果やストレス軽減といった効果が期待できるとされています。

たもぎ茸とエルゴチオネインの効果と副作用を知ろう

たもぎ茸に含まれるエルゴチオネインは、先述したとおり多くの健康効果が期待できる抗酸化物質です。たもぎ茸はサプリメントやパウダーとしても販売されているため、副作用などのデメリットがないか心配している方が多いかもしれません。ここでは、改めてエルゴチオネインがもたらす健康への影響に触れた上で、安全にたもぎ茸を摂取するポイントを解説します。

エルゴチオネインの健康への影響

この成分を取り入れることによって期待できる主な効果は、強力な抗酸化作用と、細胞保護機能です。改めて、エルゴチオネインがもたらすと考えられる健康への影響をまとめます。

期待される効果 健康への影響
美肌効果 活性酸素を抑えてシミ、シワ、たるみなどを予防し、改善する
生活習慣病の予防 抗酸化作用により動脈硬化、糖尿病、高血圧のリスクを抑える
脳機能の保護 脳内の神経ストレスを軽減し、記憶力や集中力、認知機能を維持する
免疫力の向上 免疫細胞の機能低下を抑え、感染症などへの対抗力が向上する
抗炎症作用 酸化ストレスが引き起こす炎症を予防し、改善する
疲労回復 細胞のミトコンドリアを保護し、疲労を軽減する

(出典:ホクト株式会社「きのこらぼ」, https://www.hokto-kinoko.co.jp/kinokolabo/kenkyu/324387/ ※本記事内で個別に触れている内容の概要をまとめたものです)

詳しくは後述しますが、たもぎ茸は上記の効果をもたらすとされるエルゴチオネインを多量に含む食材です。定期的に取り入れることにより、さらに魅力を実感しやすくなるでしょう。

たもぎ茸の副作用はあるのか?注意が必要なポイント

たもぎ茸は、古くから食用として用いられてきたキノコです。たもぎ茸を摂取したことが原因で、重篤な副作用に見舞われた症例は報告されておらず、安全性の高い食材と考えられます。いわゆる「毒キノコ」でもなく、安全に食べることが可能です。ただし、アレルギー、消化器症状、薬との相互作用については注意しておきましょう。

キノコ類のアレルギーを持つ人は、アレルギー反応を起こす可能性があります。食物繊維が豊富なため、大量に摂取すると腹痛や下痢に見舞われる場合があることも注意点です。また、特定の疾患で薬を服用している場合は、念のため医師に相談しましょう。

安全にたもぎ茸を摂取するための注意事項

安全にたもぎ茸を摂取するためには、推奨摂取量を守る、加熱してから食べる、品質を確認する、体調が変化した場合は摂取を中断する、基礎疾患がある場合は医師に相談する、という点を確認しておきましょう。

サプリメントやパウダーを摂取する場合は、製品に記載されている推奨摂取量を守りましょう。たもぎ茸に限らず、生のキノコ類には軽微な有害物質が含まれている可能性があるため、生のたもぎ茸を食べる場合は加熱調理することをおすすめします。

品質についても確認し、購入してから長く時間が経過した生のたもぎ茸や、信用できないメーカーが製造した製品は食べないようにしましょう。摂取後にアレルギー反応などの体調不良が発生した場合は、速やかに摂取を中断してください。また、基礎疾患がある方や、妊娠中の方は、念のため医師に相談してからたもぎ茸を摂取しましょう。

たもぎ茸の摂取方法

近年、たもぎ茸の人工栽培技術が発達し、安定供給されるようになりました。しかしスーパーマーケットなどの店頭では、まだ生のたもぎ茸を見かける機会は多くありません。そこで、たもぎ茸を手軽に摂取する方法としておすすめできるのが、サプリメントやパウダーの購入です。それぞれの特徴と選び方を解説します。

パウダーとサプリメントの違いと選び方

パウダーは、たもぎ茸を乾燥させてから粉末状にしたものです。水やお湯に溶かしたり、汁物などの料理に加えたりして手軽に摂取できます。たもぎ茸の風味やうまみを感じられることがサプリメントとの違いです。商品を選ぶ際は、たもぎ茸の配合量を確認しましょう。たもぎ茸100%の商品であれば、エルゴチオネインなどの成分を多量に摂取でき、高い効果が期待できます。

サプリメントは、たもぎ茸のエキスを抽出・濃縮してカプセルに詰め込んだものです。水やぬるま湯と一緒に飲み込むだけで摂取できるため、キノコ類の味が苦手な方に適しています。選び方のポイントは、エルゴチオネイン含有量です。その他の成分がブレンドされている可能性があるため、原材料の中心がたもぎ茸かどうかを調べましょう。

たもぎ茸サプリはいつ飲むべきか?摂取のタイミング

たもぎ茸サプリは、医薬品ではなく食品のため、摂取のタイミングに決まりはありません。ただし、たもぎ茸の魅力を感じるためには、継続して飲み続けることが大切です。朝起きたときや食前・食後、就寝前などのタイミングで摂取するように決めておくと習慣化でき、飲み忘れを防ぎやすいでしょう。

効果的な摂取頻度とサイズについて

たもぎ茸を効果的に摂取するためには、繰り返しになりますが、毎日メーカーが推奨する摂取量を守ることが大切です。適切な摂取頻度やサイズは製品ごとに異なるため、必ず製品の案内にしたがいましょう。なお、記憶力・注意力の維持に役立つ機能性表示食品としての目安摂取量は、1日あたり5mgとされています(出典:ホクト株式会社, https://www.hokto-kinoko.co.jp/kinokolabo/kenkyu/81221/ )。製品を購入する際は、1日5mg以上の成分が配合されているか確認すると良いでしょう。

たもぎ茸、エルゴチオネインと他きのこの成分の比較

キノコ類は低カロリーかつ栄養が豊富なため、たもぎ茸にこだわらず、その他のキノコを摂取すれば健康に良いのではないかと考える方もいるでしょう。そこで、たもぎ茸とその他のキノコの成分を比較します。エルゴチオネイン含有量にどのくらいの違いがあるのかを見てみましょう。

エルゴチオネインを含む他のきのこ成分との比較

以下のデータは、一般財団法人材料科学技術振興財団による、食用きのこに含まれるエルゴチオネインの比較定量分析の結果です。いずれも日本人の食生活に身近なきのこ類であり、出典元により数値に幅がある場合もあるため、あくまでも参考値としてご覧ください。

キノコの種類 エルゴチオネイン含有量(100gあたり)
たもぎ茸 125.6mg
ヒラタケ 27.4mg
エリンギ 12.7mg
ハナビラタケ 11.2mg
エノキタケ 9.8mg
シイタケ 9.6mg
ヤマブシタケ 9.1mg
ヤマエノキタケ 6.8mg
マッシュルーム 3.8mg
白マイタケ 2.9mg

(出典:一般財団法人材料科学技術振興財団, https://www.mst.or.jp/Portals/0/case/pdf/c0345.pdf )

上記のランキングからわかるように、たもぎ茸が含むエルゴチオネイン量は、文字どおり桁違いです。私たちにとってより身近なシイタケやエノキなどと比べると10倍以上、比較的含有量が豊富なヒラタケと比較しても約5倍の含有量を誇ります。これが、さまざまな研究機関によって、たもぎ茸が注目されている理由です。

今後の研究と新製品動向の予測

たもぎ茸は現在進行形で研究が重ねられている食材です。現時点では研究の途上段階であり、その全貌が完全に解明されたわけではありません。しかし、今後はヒトを対象とする臨床試験が増え、特定の疾患との関連性についてのメカニズムが徐々に解明されることでしょう。

たもぎ茸が一般化すれば、これを原料とした飲料などの加工食品や、機能性表示食品・特定保健用食品が誕生する可能性があります。また、長期的には、特定の疾患に用いる治療薬として使用される可能性もあるかもしれません。

まとめ

たもぎ茸の主要成分であるエルゴチオネインには、美肌や生活習慣病の予防、免疫力向上、脳機能の保護といった効果を引き出す可能性があります。近年の研究では、患者本人にとっても家族にとっても大変つらい疾患である「アルツハイマー型認知症」など、認知症を予防する効果も示唆されました。今後はさらに研究が進み、機能性表示食品・特定保健用食品、さらには医薬品として展開される可能性もあります。

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