きのこは洗う?洗わない?種類別に正しい扱い方をわかりやすく解説

きのこは低カロリーかつ栄養豊富な食材として人気です。日常の食生活に取り入れる方も多いですが、その際に議論されることが多いのが「洗うべきか、洗わないべきか」です。この記事では、有名メーカーによる見解や科学的根拠も交えながら、きのこの種類ごとに見た正しい扱い方などについて解説します。

きのこは洗う?洗わない?わかりやすく解説

きのこ好きの人同士でも、意見が二分されることが多いのが、調理する際にきのこを洗うのか、洗わずにそのまま使うのかです。SNSで激論が交わされることもあり、どちらが正しいのか気にしている方が多いかもしれません。この項目では、論争が巻き起こる背景や、大手メーカーによる見解、そして科学的根拠をご紹介します。

洗う・洗わない論争の背景

きのこを洗うか洗わないかの論争は、主に「衛生面を重視すべき」と「風味や栄養保持を重視すべき」の対立構造から生まれています。

昔は山で採れる天然きのこが主流であり、土や虫などの汚れが付着している場合が多いため、調理時にしっかりと洗うことが一般的でした。しかし、現在スーパーマーケットなどに流通しているきのこの多くは、清潔な工場で栽培された菌床栽培のものです。そのため、洗わなくても安全という見解が広まっています。

「洗わない派」の意見としては、「味が抜けてまずくなってしまう」「水溶性の栄養が落ちてしまう」といったものが多いです。一方の「洗う派」は、「ぬめりや汚れが付いていて気持ち悪い」「衛生面を考慮して、念のため水洗いする」といった意見を寄せる人が目立ちます。

ホクトなどメーカー見解と科学的根拠を紹介

長野県に本社を置き、東証プライム市場に上場している大手きのこメーカーのホクト株式会社は、「きのこを洗う必要はない」との見解を示しています。工場で栽培されたきのこは衛生的な環境で生産され、自動でパック詰めされるため、基本的に水洗いは不要とされています。

(出典:ホクト株式会社「きのこらぼ」, https://www.hokto-kinoko.co.jp/kinokolabo/kinkatu/16738/ )

洗わず食べる場合に気になるのは農薬ですが、日本ではきのこに使用できる農薬の質と量が厳密に決められており、無農薬で栽培している農家も多いです。特に「国産安心きのこ認証マーク」付きのきのこは、独自の厳格な審査基準をクリアしており、農薬の残留に警戒する必要もありません。

また、石づきの部分に白いカビのようなものが付着している場合もありますが、これは「気中菌糸」と呼ばれるきのこの一部です。身体に害はなく、そのまま食べても問題ありません。抵抗を感じる場合は、水洗いするのではなく、キッチンペーパーで拭き取ってから食べると良いでしょう。

(出典:関東きのこの会, https://kanto-kinoko.com/entry/white-cotton/ )

ただし、きのこの種類や状態によっては、調理前の水洗いが推奨される場合があります。例えば、マッシュルームをサラダなどで生食する場合や、粘り気が強いなめこなどを食べる場合です。また、山に自生している天然のきのこを持ち帰って調理する場合は、土や砂などが多く付着しているため、水洗いしてから調理しましょう。

きのこを洗うことで変わること:旨味・食感・栄養への影響

「きのこを洗わない派」の意見に多いのが、水洗いすると旨味や食感、栄養が失われるといった主張です。このような意見を耳にして、以前は水洗いしていたものの、今では洗わずに調理するようになったという方も多いかもしれません。ここでは、きのこを洗うと本当に旨味・食感・栄養に影響するのか解説します。

水洗いで失う栄養素と実際の影響はある?

きのこには、ビタミンB1やB2、カリウム、β-グルカンといった、私たちの健康維持に役立つ栄養素が多く含まれています。ここで注意しておきたいのは、きのこに含まれる栄養素の多くが、水に溶ける「水溶性栄養素」であることです。水洗いにより、水溶性栄養素の一部が流出する可能性があることは、化学的にも認められています。

(出典:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, https://hfnet.nibn.go.jp/vitamin/detail178/ )

風味・食感への影響

栄養面だけでなく、風味や食感といった味覚が損なわれる可能性があることも、きのこを水洗いすべきではないといわれる理由のひとつです。水洗いすると、特有の香りや旨味が水に溶け出して飛んでしまうほか、水っぽくなって食感がふやけるという意見を聞く機会も少なくありません。

調理法別の影響(炒める・煮る・鍋・冷凍)と戻し方のコツ

きのこを水洗いすると、栄養や風味、食感に悪影響が出る可能性が高いことは先述したとおりです。それでは、きのこ本来のポテンシャルを活かすためには、どのような調理法を選ぶと良いのでしょうか。炒める・煮る・鍋・冷凍と4つの食べ方別に解説し、さらに乾燥きのこの戻し方のコツもご紹介します。

まず炒める場合は、洗わないほうが余計な水分が出にくく、香ばしく仕上がりやすいです。強火を使い、油と一緒に短時間で火を通すと良いでしょう。

煮込んだり、鍋物の具材にしたりする場合は、きのこの食感や味わいだけでなく、きのこから出るだしのおいしさも楽しめます。水洗いすると、せっかくのだしが薄まる可能性があるため、やはり洗わずにそのまま煮物や鍋物に投入するのがおすすめです。

冷凍する場合は、冷凍時と解凍時の両方においしく食べるコツがあります。冷凍する際は、余計な水気をキッチンペーパーなどで拭き取り、小分けにしてフリーザーバッグなどに入れて冷凍しましょう。水気が付いていると、冷凍した後に霜がつき、きのこが水っぽくなる可能性があります。

解凍時のポイントは、凍ったまま料理に使うことです。個別に解凍してから調理すると、解凍時に溶け出した水分から、旨味や香りが逃げ出してしまいます。凍ったまま炒めたり、煮込んだりすることにより、旨味や栄養を閉じ込めたまま調理できるのです。

乾燥きのこを戻す際は、全体を軽く水洗いしてから、冷たい水に浸して冷蔵庫で4~5時間置くのが良いとされています。時間がない場合は、人肌程度のぬるま湯に浸けて常温に置き、2~3時間をかけて戻しましょう。さらに早く戻したい場合は、耐熱容器にきのこを入れて水で浸し、ラップをかけて常温で10分程度置いてから、電子レンジの600Wで約20秒温める方法が有効です。

なお、乾燥きのこの戻し汁には、水溶性の栄養や旨味がたっぷりと含まれています。せっかくの栄養と旨味を逃したくない場合は、戻し汁を煮物に使ったり、炊き込みご飯の水として再利用したりするのがおすすめです。

きのこ種類別の正しい扱い方

きのこの種類や形状、そして特性によって、水洗いの必要性を含む正しい扱い方が変わります。原則として、きのこを水洗いする必要はありませんが、状況や好みに応じて扱い方を微調整しましょう。ここでは、きのこを4つの種類に分けて、それぞれの正しい扱い方を解説します。

傘がしっかりしたしいたけ・マッシュルーム

しいたけとマッシュルームは、傘が肉厚でしっかりしているため、比較的扱いやすいきのこです。基本的には洗わずに、湿らせたキッチンペーパーや清潔な布巾を使って、傘の表面や軸の汚れを優しく拭き取りましょう。水洗いすると、グルタミン酸に代表される旨味成分が流出し、食感も水っぽくなります。しいたけの石づきはカットしますが、軸の部分は食べられるため、みじん切りにして料理に活用しましょう。

しいたけは傘が開きすぎておらず、肉厚で内側のひだが白い、きれいなものが良質です。マッシュルームは傘が閉じていて、傷のないものを選ぶと良いでしょう。

しいたけは料理によって切り方を調整します。炒め物の場合は1/4程度にカットして、中火~強火で香ばしく焼くとおいしく仕上がります。煮物にする場合は、軸も入れて煮込むと、だしが出ておいしく食べられます。天然しいたけの場合のみ、汚れが気になる場合は少しだけ水洗いして、しっかりと水気を拭き取ってから調理するのがおすすめです。

マッシュルームは、生食をする場合のみ軽く水で洗いましょう。生食には薄切りのスライスが適しています。加熱調理をする場合は、大きめにカットしたり、丸ごと焼くとジューシーな食感を楽しみやすいでしょう。シチューなどの煮込みにも向いています。

しめじ・舞茸の扱い方

しめじと舞茸は束になっており、手で簡単にほぐせるのが特徴です。石づきを切り落とした後は、手で小さい房に分けて、洗わずに調理しましょう。汚れが気になる場合は、湿らせたキッチンペーパーでサッと拭き取るだけでOKです。水洗いをすると、風味の低下や水っぽさを招くため、避けてください。

しめじは房が密集していて、傘がきれいな白いもの、あるいは淡褐色のものを選ぶと新鮮で高品質です。まいたけは香りが強く、房が崩れていないものを選ぶと良いでしょう。

いずれも、炒め物や味噌汁、鍋物の具材として最適なきのこです。油で炒めると香ばしさが増すほか、β-グルカンなどの免疫力を向上させる成分も活かせます。苦味やクセが少なく、旨味が強いため、きのこ類が苦手な方や、きのこ類に苦手意識をもつ子どもにもおすすめです。

また、冷凍して活用しやすいことも、しめじ・まいたけの特徴です。小さい房に分けて、平らな状態にして冷凍しておくと、3週間~1ヶ月程度は日持ちします。解凍せずにそのまま炒め物や鍋物などに活用できるため、時短調理の具材として選んでも便利です。

細長いえのき・ぬめりのあるなめこ

えのきは細長くてシャキシャキした食感が、なめこは独特のぬめりが特徴です。

えのきは石づきを切り落とし、手でほぐして、洗わずに使いましょう。長時間にわたって水に浸すと食感が損なわれるため、どうしても汚れが気になる場合は、根元の部分だけをサッと洗うようにしてください。一方のなめこは、ぬめりのある部分に汚れが残りやすいです。ただし、ぬめり部分には、ペクチンなどの栄養がたっぷりと含まれています。ざるで軽く水洗いする程度にとどめて、短時間で水気を切りましょう。

えのきは乳白色で傘が開きすぎていないもの、なめこは粒がそろっていてぬめりが適度なものを選ぶのがおすすめです。

えのきは炒め物や鍋物に向いています。なめこは味噌汁の具材にしたり、おろし和えにしてお酒のつまみにしたりするのが定番の調理法です。冷凍する場合は、えのきはほぐして、なめこはパックごとまたは小分けで保存しましょう。えのきは根元の軸も細かく刻んで活用すると、食物繊維などの栄養をしっかりと取り入れられます。

タモギタケやヤマブシタケは?

タモギタケやヤマブシタケは、比較的珍しいきのこです。自然のものはあまり流通しておらず、衛生的な環境で育てられるため、原則として洗わずに扱って問題ありません。石づきを切り落として、手で小さい房に分けて使うと良いでしょう。汚れが気になる場合は、ごく短時間軽く水洗いして水気を拭き取るか、湿らせたキッチンペーパーで拭き取るかのいずれかで十分です。

タモギタケは鮮やかな黄色でハリがあるものを、ヤマブシタケは白くふさふさで傷のないものを選ぶと新鮮です。

どちらも炒め物や鍋物、てんぷらなどに向いています。タモギタケはシャキシャキした食感を活かせる調理法が、ヤマブシタケは旨味の強さを引き出せる煮込みが特におすすめです。いずれも機能性食品としても注目されているため、健康的な生活を送りたい方も食生活に取り入れると良いでしょう。

まとめ

原則として、きのこ類は洗わずにそのまま調理して大丈夫です。汚れが気になる場合は、湿らせたキッチンペーパーで軽く拭くときれいになります。種類ごとの特徴を把握して、旨味や栄養を逃すことなく、毎日の食生活の質を高めましょう。

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