松茸(マツタケ)に含まれる栄養素と期待できる効能とは?
松茸は秋の味覚を代表するきのこの一種です。しかし、その魅力は味わいと香りだけではありません。ビタミンDや食物繊維などの栄養素をたっぷりと含み、健康維持にも役立つ食材と考えられています。この記事では、松茸の特徴や主な栄養素、期待できる効果、良質な品の選び方などを解説します。
松茸(マツタケ/まつたけ)とは?特徴と香りの秘密

松茸は秋に旬を迎える高級きのことして有名です。松茸ご飯や土瓶蒸しなど、日本の食文化を語るうえで欠かせない食材ともいえます。まずは松茸が高級食材として扱われる理由や、国内外における評価をご紹介します。
秋の味覚で高級扱いされる理由と栄養価
松茸の発生時期は8月末ごろから11月末ごろにかけてであり、秋の味覚として有名です。特有の芳醇な香りは、「マツタケオール」と「桂皮酸メチル」という香気成分の組み合わせによって生まれます。マツタケオールは多くのきのこ類に共通して含まれる成分である一方、松茸特有の香りを特徴づけているのは桂皮酸メチルだと考えられています。歯応えの良さも魅力の高級食材であり、国産品の場合は1本数万円で売買されるケースも珍しくありません。
高級食材として扱われる理由は、希少性と栄養価の高さにあります。特有の味と香りを確保するためには、傘が開ききる前に採取しなければなりません。人工栽培も難しく、希少性の高さが価格の高さにつながっています。また、詳しくは後述しますが、栄養価の高さも高級扱いされる理由の1つです。
日本での歴史・食材としての位置づけ
日本では古くから松茸が親しまれています。その歴史は深く、縄文時代の遺跡からも関連する遺物が見つかっているほどです。豊臣秀吉も松茸狩りを楽しんでいたとの記録が残っています。
江戸時代に入ると庶民も松茸を食する機会が増え、秋の味覚の代表格となりました。現代でも松茸ご飯や土瓶蒸しなどの伝統料理で用いられ、季節の風物詩として位置づけられています。
英語での呼び方と海外での評価
英語では松茸は「Matsutake mushroom」と呼ばれ、学名は「Tricholoma matsutake」です。英語圏の人には「Matsutake」だけで通じる場合もありますが、日本国内ほど知名度が高いわけではありません。発音としては「マツタキ」と呼ばれる傾向があります。
日本人からの評価が高い松茸ですが、海外ではあまり好まれていません。その理由は特有の強い香りにあり、ときに「靴を履き続けた臭い」「しばらく入浴していない人の臭い」などと表現されることもあるほどです。松茸を食文化に取り入れているのは、広い世界の中でも日本と韓国だけといわれています。
松茸に含まれる主な栄養素
特有の香りと味わいが人気の松茸ですが、実は多くの栄養素が含まれています。特にビタミンDと食物繊維が豊富で、私たちの健康に大きく寄与する可能性があるでしょう。ここでは、100gあたりに含まれる栄養素の内容と、それにより期待できる健康への影響について解説します。
ビタミンD・食物繊維・成分一覧
文部科学省が運営する「食品成分データベース」によると、100gあたりに含まれる栄養素は次のとおりです。
| 成分名 | 含有量(100gあたり) |
|---|---|
| エネルギー | 32kcal |
| 水分 | 88.3g |
| たんぱく質 | 2.0g |
| 脂質 | 0.6g |
| 食物繊維総量 | 4.7g |
| 炭水化物 | 8.2g |
| カリウム | 410mg |
| カルシウム | 6mg |
| マグネシウム | 8mg |
| リン | 40mg |
| 鉄 | 1.3mg |
| 亜鉛 | 0.8mg |
| セレン | 82μg |
| ビタミンD | 0.6μg |
| ナイアシン | 8.0mg |
| 葉酸 | 63μg |
| パントテン酸 | 1.91mg |
(出典:文部科学省食品成分データベース, https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08034_7 )
ビタミンとミネラルがバランス良く含まれるほか、食物繊維総量も多いことが特徴です。
食物繊維の種類と腸内環境への影響
食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2種類があります。松茸に多く含まれるのは、水に溶けない不溶性の食物繊維です。100gあたりの食物繊維総量である4.7gのうち4.4gを不溶性食物繊維が占めており、便のかさを増して腸の動きを促進します。便秘解消効果が期待され、腸内環境の改善につながるでしょう。
また、食物繊維は、血中脂質や血糖値の正常化にも役立つと考えられています。脂質や糖質、塩分を体外へと排出する作用により、糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防効果にも期待できるのです。
そのほかのビタミン・ミネラルと機能性成分
そのほかの成分としては、ナイアシンやパントテン酸などのビタミンB群、鉄分や亜鉛などのミネラルも含まれます。これらの成分は、エネルギー代謝や貧血予防に役立つと考えられ、健康の維持や向上を支える心強い存在となることでしょう。
また、抗酸化作用を持つセレンやポリフェノール類などの機能性成分は、細胞の酸化ストレス軽減に寄与する可能性があります。これらの成分は、免疫機能の維持や、疲労回復のサポートといったメリットをもたらす可能性が高いです。
松茸のカロリー・たんぱく質・糖質・脂質

栄養価が豊富な松茸ですが、カロリーや糖質・脂質は低く、ダイエット中の方でも取り入れやすい食材です。生の物は水分含有率が高い一方、乾燥すると濃縮されて栄養素の密度が高まることも特徴といえます。ここでは、ほかのきのことも栄養素を比較しながら、カロリー・たんぱく質・糖質・脂質の特徴を見てみましょう。
100gあたりのカロリーと主要栄養成分の目安
先述した「食品成分データベース」から、カロリーと主要栄養成分を抜粋します。
| 成分名 | 含有量(100gあたり) |
|---|---|
| エネルギー | 32kcal |
| 水分 | 88.3g |
| たんぱく質 | 2.0g |
| 脂質 | 0.6g |
| 炭水化物 | 8.2g |
| カリウム | 410mg |
| セレン | 82μg |
| ナイアシン | 8.0mg |
| パントテン酸 | 1.91mg |
(出典:文部科学省食品成分データベース, https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08034_7 )
100gあたりのカロリーは約32kcalと低く、たんぱく質や脂質、炭水化物も少なめです。低カロリーながら食物繊維やミネラルが豊富なため、ボリューム感があり、ダイエット中に用いる食材としても魅力的でしょう。
生と乾燥(乾燥松茸)の栄養差・水分による変化
生の松茸は水分が88.3%と多いです。これを乾燥させることにより、重量あたりのカロリーや食物繊維などが濃縮され、栄養素の密度が高まるでしょう。ただし、生の松茸を購入した後に乾燥させると、特有の香りやビタミン類の一部が損なわれる可能性があります。
長期間にわたって保存する場合は、水に濡らしたキッチンペーパーで包み、冷蔵庫の野菜室に入れるのがおすすめです。冷凍保存する場合は、1つずつをラップで包んで保存袋に入れてから凍らせると、鮮度を維持しやすくなります。
ほかのきのこ(キノコ)との栄養比較でわかる特徴
そのほかのメジャーなきのことも栄養を比較してみましょう。
| 項目 | 松茸 | 舞茸 | 椎茸 |
|---|---|---|---|
| エネルギー | 32kcal | 22kcal | 25kcal |
| 水分 | 88.3g | 92.7g | 89.6g |
| たんぱく質 | 2.0g | 2.0g | 3.1g |
| 脂質 | 0.6g | 0.5g | 0.3g |
| 食物繊維総量 | 4.7g | 3.5g | 4.9g |
| 炭水化物 | 8.2g | 4.4g | 6.4g |
| カリウム | 410mg | 230mg | 290mg |
| カルシウム | 6mg | Tr | 1mg |
| マグネシウム | 8mg | 10mg | 14mg |
| リン | 40mg | 54mg | 87mg |
| 鉄 | 1.3mg | 0.2mg | 0.4mg |
| 亜鉛 | 0.8mg | 0.7mg | 0.9mg |
| セレン | 82μg | 2μg | 5μg |
| ビタミンD | 0.6μg | 4.9μg | 0.3μg |
| ナイアシン | 8.0mg | 5.0mg | 3.4mg |
| 葉酸 | 63μg | 53μg | 49μg |
| パントテン酸 | 1.91mg | 0.56mg | 1.21mg |
(出典:文部科学省食品成分データベース, https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08034_7 )
3つのきのこの中では最も水分量が少なく、エネルギーやカリウム、カルシウム、セレン、ナイアシン、葉酸、パントテン酸が豊富なことが特徴です。多様なきのこを組み合わせて摂取することにより、さらに幅広い栄養を摂取できます。
松茸を食べることで期待できる効果

先述したように、松茸には多くの栄養成分が含まれています。これにより、どのような効果が期待できるのか気になる方が多いでしょう。ここでは、期待できる効果に加えて、食べ過ぎた場合のデメリットもご紹介します。
免疫力向上や抗酸化作用の可能性
セレンに代表される抗酸化成分は、酸化ストレス軽減に寄与すると言われています。抗酸化作用とは、体内で有害なフリーラジカルを中和する働きです。酸化ストレスは、慢性疾患や老化の原因と考えられており、抗酸化作用によって特定の疾患リスクを低下させる可能性があります。
また、免疫系を支える役割を果たす多糖類が多いことも松茸の特徴です。多糖類には免疫調整作用があるとされ、免疫細胞の活性を高める働きをサポートします。これにより、有害な病原体や感染症から全身を守り、健康を維持しやすくなるのです。
生活習慣病予防・血糖やコレステロールへの影響
生活習慣病を予防しやすくなる可能性もあります。食物繊維には血糖値の上昇を緩やかにする効果があるほか、カリウムが血圧調整をサポートするためです。低カロリーで満足感が高いことも特徴の1つであり、体重管理にも適しています。健康的な食生活を目指す方は、定期的に松茸を摂取すると良いでしょう。
食べ過ぎると起こること(過ぎると注意すべき点)
食物繊維が豊富なため、食べ過ぎると消化不良を起こし、腹痛や便秘・下痢の原因となる可能性がある点には注意が必要です。また、過剰に摂取すると吐き気を催す場合があるともいわれています。
なお、そのほかの一般的なきのこと同様に、生食してはいけません。生食をすると下痢や嘔吐といった食中毒症状があらわれる場合があるため注意しましょう。腐った場合も同様で、腐敗細菌が増殖して中毒症状を引き起こす原因となるため、新鮮なうちに完食することをおすすめします。
価格の違いと注意点

松茸は高級食材であり、人によっては購入するのに勇気が必要かもしれません。
「いつ買うと価格が安いの?」
「どうすれば新鮮な品かどうかを見分けられる?」
と疑問を抱えている方も多いでしょう。ここでは、購入時のチェックポイントや注意点をご紹介します。
松茸の知っておくべき注意点
特に重要なポイントは、新鮮さを保つことです。鮮度が失われると、栄養価を損なうほか、腐敗して食中毒のリスクを高めます。保存時には乾燥を防ぎ、購入から2~3日以内には食べきるように意識しましょう。
いつ買うと値段が変わるか
スーパーマーケットなどの小売店で販売される価格は、収穫時期によって変動します。
9月ごろのシーズン初めは高価ですが、ピーク時や旬の終わりごろには値下がりすることもあります。
リーズナブルに召し上がりたい場合は、カナダ産や北米産といった輸入品を購入するのも1つの手です。底値になる10月末ごろの輸入品を狙うと、国産と比べて割安で入手しやすいでしょう。
良い松茸の見分け方と買うときのチェックポイント
良い品は軸が太く、弾力があり、傘が開いていない「つぼみ」の状態です。
表面が乾燥しておらず、ヒダがきれいな状態か確認することを意識すると、良い品を見分けられるでしょう。また、においを確かめられる場合は、香りが強い物を選ぶのがおすすめです。
まとめ
高級な秋の味覚として知られている松茸は、栄養豊富でダイエットにも適した食材です。食生活に取り入れることにより、健康的な食生活を送れるでしょう。軸が太くて弾力があり、傘が開いておらず、香りが高い商品は、特に良い状態の物と判断できます。

